遺産分割協議ができない場合
- 2021/07/29
相続発生後、相続財産をどのように分けるのかを相続人全員で話し合いをすることになります。この話し合いを遺産分割協議といい、その話し合いがまとまった内容を書面にしたものを遺産分割協議書と言います。
一般的に、不動産の相続登記や預貯金の相続手続、相続税の申告などの相続の手続きをする場合、この遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・捺印をすることになります。この遺産分割協議書に押印する印鑑は必ず実印でなければなりませんし、遺産分割協議は相続人全員が必ず参加する必要があります。
もし、相続人の一部を除外して遺産分割協議がなされた場合には、その遺産分割協議は有効に成立していないことになるため、相続の手続きを行うことができません。
また、遺産分割協議は未成年者や認知症などの成年被後見人が単独で行うことはできません。
相続人の中に認知症でご自分で判断できない場合には、遺産分割協議をすることができないため、その方のために後見開始の審判の申し立てを家庭裁判所にして後見人を選任してもらい、後見人が本人の代わりに遺産分割協議をすることになります。
相続人の中に未成年者がいる場合には、遺産分割協議をするための特別代理人を裁判所に選んでもらい、その特別代理人が未成年者の代わりに遺産分割協議をすることになります。
このように、相続人の中に認知症などで判断ができない方や未成年者がいる場合にはそのままでは遺産分割協議ができないため、前提として後見人や特別代理人の選任の申し立てを家庭裁判所にすることになります。
未成年者の代わりにする特別代理人は遺産分割協議をするためだけの代理人なので、遺産分割協議が終われば特別代理人の仕事も終了となります。しかし、認知症の場合の後見人は、遺産分割協議が終わり相続が完了しても後見人としてはつき続けることになります。
相続税の申告が必要な場合には10か月以内という期限があり、今後は相続登記も義務化される予定のため相続をしないままにしておくことは難しいと思います。
当事務所では、後見の申し立て・特別代理人の申し立てなどから相続手続きまで全てをご相談いただくことが可能です。
相続人の中に認知症など判断ができない方や未成年者がいる場合などで悩んでいる方も一度お気軽にご相談ください。